監修を川北紘一さんが行った東宝戦争映画のムック本になります
全198ページ
内容はスチール写真を織り交ぜながらのストーリー解説です
東宝戦争映画といえば海上戦の引き場面で艦隊の模型から出る白波
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通称 寒天の海の製作風景なんかのスチール写真も載っていて怪獣映画とはまた違った特撮技術を見ることが出来ます
今、本誌に掲載されている東宝戦争映画は8月15日の終戦記念日から取って815シリーズと呼ばれています
これに掲載されている作品はあくまで特撮に限った作品でこれら以外にも815シリーズは存在
戦前、戦中編
・燃ゆる大空(1940年)
昭和15年に、陸軍の後援を受けて製作
大半が実機を使った撮影
・翼の凱歌(1942年)
陸軍の隼開発にまつわる話
・ハワイ・マレー沖海戦(1942年)
太平洋戦争開戦一周年記念作品
ストーリーはある予科練の少年兵が厳しい訓練に耐え、真珠湾攻撃に参加し凱歌をあげるというもの
実際にこの時期には既に日本の敗戦色の気配が見え始めた頃で国民の戦意高揚のため以前に増してプロパガンダ色が強くなる
・決戦の大空へ(1943年)
当時の若者に宛てた国策映画
予科連で暮らす練習生たちの話
意気地なしの主人公の少年 克郎が練習生たちに影響を受け逞しくなり予科練習生に合格する
・加藤隼戦闘隊(1944年)
加藤建夫さんという実在の隼乗りの隊長の戦記になる
・雷撃隊出動(1944年)
戦中最後の国策作品
海軍の攻撃隊で雷撃の神様通称さんかみと呼ばれる川上、三上、村上の三人の士官の話
余談、マグマ大使パーフェクトブックに掲載されていましたが、昭和14年にピープロのうしおそうじさんは東宝の線画(アニメーション)部門に入社します
特別映画班としてそこでハワイ真珠湾攻撃用教材映画「水平爆撃理論編」、「水平爆撃実際編」という10巻に渡るアニメを製作したそうで
真珠湾攻撃に参加した飛行部隊の人たちもそれを見て教育を受けたとか
円谷さんも軍広報からの製作指導は受けた様子で、今現在の東宝怪獣映画への自衛隊の協力にその名残があります
昭和23年にはアメリカ軍の力で鎮圧した大規模なストライキ「東宝大争議」が起こります
この時、うしおさんは東宝を退社し漫画家の道へ
そして、手塚治虫さんに出会います
東宝大争議がなかったらピープロは生まれなかったかもしれない
戦後編
・太平洋の鷲(1953)
本多猪四郎さん監督作品
主人公は山本五十六
海軍次官時代、日独伊三国同盟阻止からミッドウェイ敗戦後まで
・さらばラバウル(1954年)
初代ゴジラと同年公開
南方ラバウルの海軍航空基地に鬼と呼ばれる撃墜王 若林大尉が主人公
国策映画時代ならあり得ない酒場で酒に溺れる日本兵なども描かれるようになり、戦争そのものよりも極限状態に置かれた人間たちが一度は人間性を失い、再び取り戻してゆくという心をテーマにした人間ドラマに強みが出てくる
現代の戦争映画には大抵ラブストーリーも絡んできますが、この作品でもそれが始まる
・潜水艦イー57 降伏せず(1959年)
イー57がベルジュとミレーヌというある国の二人の外国人を祖国まで送る話
タイトルはイー57のラストの場面を表す
・太平洋の嵐(1960年)
初のカラー作品
真珠湾攻撃からミッドウェイ敗戦までを一青年士官の目線で追う
・太平洋の翼(1963年)
太平洋の嵐に続く航空戦を描いた作品
太平洋の嵐が海上戦に対して局地戦闘機に搭乗する基地航空部隊の活躍を垣間見ることが出来る
俳優陣も三船敏郎、加山雄三、星 由里子、渥美清、志村 喬と名優揃い
ラストの加山さん演じる滝がBー29に突っ込む様は凄まじい
・青島要塞爆撃命令(1963年)
円谷さんは飛行機乗りになりたかったそうで…
第一次世界大戦の中国で青島(チンタオ)にあったドイツ軍のビスマルク要塞と水上複葉機を使い対峙した日本軍の実話を基に製作した話
個人的にオススメな作品になります(笑)
戦闘機より複葉機がな~やっぱ
・太平洋奇跡の作戦 キスカ(1965年)
敗戦色濃くなった昭和18年キスカ島から兵を脱出させるキスカ救出作戦が決行される
半月後…米軍はキスカ島に上陸を開始
散発的な戦闘が起こるが、それは敵と勘違いした米軍同士の撃ち合いだった
上陸に成功した米軍が見たもの…それは二匹の犬だけだったのだ(笑)
・ゼロ・ファイター大空戦(1966年)
若大将シリーズで人気だった加山雄三さんが零戦パイロットを演じた空戦アクション作品
・連合艦隊司令長官 山本五十六(1968年)
太平洋の鷲と多少内容はかぶりますが、昭和14の三国同盟阻止、独ソ不可侵条約成立あたりから、真珠湾攻撃、ミッドウェイ敗戦、ガダルカナル、戦死と山本さんの太平洋戦争時代を描いた作品
特撮こぼれ話・艦船編として他作品よりもページ数あります
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・日本海大海戦(1969年)
特技監督 円谷英二さんがこの作品で引退
日清戦争後~日露戦争ロシアの最強と言われたバルチック艦隊との戦いを描いた作品
明治時代に始まった日露戦争の日本の勝利はその後、太平洋戦争に突入する日本の道程には外せない話なので
いわゆる大艦巨砲主義を尊信するきっかけでもありますね
・大空のサムライ(1976年)
激戦のラウバル航空基地に撃墜王として名を馳せる坂井三郎と仲間の戦闘機乗りたちの熱~い話
何故、熱いか?
仮面ライダーに人気を泊した藤岡弘さんが主人公の坂井三郎なのだ!
・連合艦隊(1981年)
色んな意味で東宝戦争特撮の集大成(笑)
日露の大勝の振り返りから昭和20年4月の戦艦大和轟沈まで日本連合艦隊の歴史を振り替える作品
色々意味で集大成な理由はミッドウェイまでは過去の東宝戦争作品や深作監督も製作に参加したFOXのトラトラトラからのフィルムを流用している点(笑)
良い意味では豪華キャスト!
森繁久彌、丹波哲郎、長門裕之、当時は若手な古手川祐子、永嶋敏行、中井貴一あたりを起用している
特撮こぼれ話 航空機編付き
・零戦燃ゆ(1984年)
掲載ラスト作品
零戦の誕生から終焉までを海軍航空隊を主に太平洋戦争全体を見ていく作品
キャストには加山雄三、北大路欣也、丹波哲郎、早見 優等
誌終部には考証、検証があり各作品の兵器や事柄の解説と考証が掲載されてます
零戦燃ゆまでの掲載ですが、815シリーズとしてその後95年にひめゆりの塔が公開されます
ひめゆりがリアルタイムで見た東宝戦争作品の最初だな、たぶん
学校で安く見れる割引券渡された気がする
一口に戦争物といっても一つの兵器や人を扱ったり、大戦全体の流れを見ていったり、また技術情報系と様々だからね~
個人的にはヒストリーチャンネルやディスカバリーチャンネルの戦争特集の様な記録映像を観る方が機会多いです
映画だと演出過剰や無駄にヒーロー物にしたてられちゃたりでイラつく時あるので(笑)
とはいえ、戦争映画の記事だから…
近年、東宝怪獣映画シリーズと同じでディアゴスティーニから東宝・新東宝戦争映画DVDコレクションが出たので、ジャンルがジャンルだけに一般リリースでは中々売れず、中古でも高めでしたが値崩れして手に入り安くなってます
まあ…最初に出た時定価で購入した人にはこれもイラつくことだけどね(笑)